珍しいお祭りを見てみたい。
裸祭りに参加してみたい。
こんなふうに思ったなら、毎年2月上旬の夜から翌朝暁にかけて開催される、岩手県黒石寺の蘇民祭をどうぞ。
毎年旧正月の7日夜から開催される、裸の男と炎の祭りです。
実はこの蘇民祭(そみんさい)は、岩手県内数か所で行なわれます。
もっと言えば、岩手県を中心に、日本各地で行なわれる裸祭りのことも指しています。
そのなかで最も有名なのが、岩手県黒石寺(こくせきじ)の蘇民祭ということですね。
では、この蘇民祭の魅力と楽しみ方は?
黒石寺蘇民祭の見所と参加方法 岩手県奥州市水沢の日本三大奇祭について
岩手県黒石寺のそみん祭は、日本三大奇祭に数えられています。
日本の中でも特に有名なお祭りなわけですね。
さらには、日本三大裸祭に数えられることもあります。
このはだか祭りですが、元々の由来は、病気平癒や五穀豊穣の願いのためでした。
「神仏の前に生まれたままの姿で立つ」という思想があるわけです。
蘇民祭の歴史は、なんと1000年以上。
それだけ長い間伝わっているわけで、いやらしい意味などは一切ないんです。
今の世の中だと、ポスター問題でセクハラになる、などと問題になったことがありますが。
(このポスター問題については後述します)
さて、みちのくの勇壮な祭りである蘇民祭ですが、見どころや魅力としてはどんなものがあるのか?
一番の見所は、東北地方の極寒の中、護符の入った蘇民袋を奪い合う争奪戦です。
この奪い合い・争奪戦が壮絶で、見ごたえがあります。
何せ、2時間以上も行なわれて、脱落者は全体の3分の2にまで上るんだとか。
それも含めて、黒石寺蘇民祭で行なわれる内容(プログラム)は、
- 裸参り
- 柴燈木登り
- 別当登り
- 鬼子登り
- 蘇民袋争奪戦
の5つになります。
具体的には――
■裸参り
願い事を書いた角灯を持った男たちが瑠璃壺川へ向かい、氷を割った川の水を手桶で自分にかけて身を清める。
その後、「ジャッソウ」「ジョヤサ」という掛け声と共に妙見堂まで行って祈願し、また川へ戻る。
この一連の動きを9回繰り返します。
■柴燈木登り
半分に切った丸太を2m程度に積み重ね、さらに火をつける。
(火の粉で身を清める)
ふんどし姿の男たちが、この台の上に登って我慢比べをします。
■別当登り
住職による護摩焚きを行ないます。
■鬼子登り
寺の檀家の数え年7歳の男の子2人に麻の衣を着せる。
さらに木槌・木斧と、逆さにした鬼の面を背負わせる。
準備が整った子供たちを、大人が背負って薬師堂に登ります。
そして、一番の見所である蘇民袋争奪戦が始まります。
ふんどし姿の男たちが「蘇民袋」という麻袋を奪い合う。
そして、袋の締め口部分を最後に握った人が「取主」と呼ばれ、栄誉と商品がもらえる――というだけのシンプルなルールですが。
凄い熱気と真剣さが伝わってきます。
近くには消防車・救急車・パトカーまでが準備されるほど。
すごいのは、2月という冬の夜に、褌一丁になるということです。
この争奪戦を体験した参加者は、「地獄の寒さ」と表現しています。
なんと、寒い時で氷点下10度近くまで気温が低くなるそうです。
黒石寺蘇民祭の参加方法は?
この蘇民祭ですが、実は誰でも参加可能なお祭りなんです。
つまり、あなたも当日に境内で届け出れば参加可能だということ。
まぁ、とんでもなく寒いし大変なので、興味本位で参加するのは全くおすすめできませんが。
覚悟があるなら、人生経験を積むために1度参加するのもいいかも?
参加の届け出自体は、とても簡単です。
詳しくは、奥州市の観光サイトを見てみて下さい。
当日の流れと参加方法、さらには臨時バス時刻表まで載ってます。
午前0時から、祭り案内所にて参加者登録ができるようになっています。
黒石寺蘇民祭に必要な持ち物と服装は?混雑状況や行き方(交通情報)も解説
黒石寺蘇民祭に行くなら、防寒対策だけはキッチリやっておくこと。
何せ、冬の夜から始まって、夜中を超え、朝方まで続くお祭りなので。
とても冷え込みます。
なので、
- 保温効果の高いインナーとミドルウェアを重ね着する
- 防風性の高い厚手のジャケットを装備する
- 手足が冷えないように、靴下の重ね履き・暖かい手袋を着用する
といった防寒対策はしてください。
また、マフラーやニット帽などの耳まで隠れる帽子もあればいいですね。
あとは、カイロ(ホッカイロ)も必須アイテムになります。
貼るタイプのやつでもいいし、貼らないタイプの使い捨てのカイロでもOK。
もし、上記で挙げた「蘇民祭争奪戦」に参加するなら。
防寒対策に加えて、必ずふんどしと足袋を持参すること。
一応、まつり当日に臨時観光案内所でも販売されるとのことですが、販売数量には限りがあるので確実に手に入るわけではありません。
また、水を浴びることになるので、足袋は予備も含め3足は持っていったほうが良いでしょう。
当日、現地に着いたら正面参道階段の前にある仮設小屋を目指して下さい。
1000円払えば時間無制限で入れます。
ホームページやネットでわからないことがあれば、以前にも参加した人に教えてもらえます。
ふんどしも締め方がわからなければ、聞いてもいいですしね。
この休憩小屋に行きさえすれば、後は周りの人に聞けば万事解決しますよ。
注意点としては、奥州市観光サブサイト「黒石寺蘇民祭」のページに
「負傷等一切の事故について、黒石寺、黒石寺蘇民祭保存協力会及び奥州市は責任を負いません」
との一文があるとおり、怪我は自己責任になるということ。
まぁ、普通に気をつけていればそこまで大変なことにはならないでしょう。
それから、黒石寺蘇民祭へのアクセスですね。
会場は岩田県奥州市の黒石寺(こくせきじ)です。
祭り当日は、黒石寺行きの臨時バスが
- 午後9時25分
- 午後10時30分
- 午前0時
- 午前3時50分
の計4回出ます。
なお、帰りの水沢駅・水沢江刺駅行きも
- 午後11時30分
- 午前0時45分
- 午前5時30分
- 午前6時45分
の計4回出るので、安心して利用して下さい。
国道は全面駐車禁止ですが、午後7時から黒石寺向かいの駐車場が利用できるので、自動車で向かうこともできます。
東北自動車道水沢ICから車で30分で着きますよ。
ただし、有名なお祭りということもあって混雑するので、バスまたはタクシーで向かうのがベストと言えそうです。
なお、蘇民袋争奪戦が行なわれる明け方の時間帯は、臨時駐車場からの出庫も一時禁止となるので、気をつけて下さい。
およそ午前5時~午前6時30分の間のことです。
それから、夜~朝方まで続くお祭りなので、できれば駅周辺に宿(ホテル)を取っておくのが安全です。
ですが実は、休憩小屋で一夜を明かすことも可能。
節約したいなら、こちらを利用するのもいいでしょう。
蘇民祭が有名になったキッカケ!有名な平成20年度蘇民祭ポスター問題とは?
さて、この蘇民祭ですが、一時期ニュースになったことがあります。
それも、悪い意味で。
2008年の蘇民祭のポスターは、上半身裸で胸毛が濃い男性が写っているというデザインでした。
この写真が「クレームがつきそうだ」と問題になったわけです。
JR東日本が、「女性客が不快感を覚え、セクシャルハラスメントに該当する恐れがある」と問題視して、駅構内での掲示を拒否しました。
ポスター問題として有名な騒動ですね。
これがそのときのポスター写真です。
おれの誕生日は問題になった蘇民祭のポスター に書いてあるから 忘れそうになったら蘇民祭のポスターを検索して pic.twitter.com/k7JTpv3kKm
— katagiri (@necozedaze) 2017年11月16日
ですが、この騒動によって、蘇民祭は全国的に知名度を上げたという面もあるようです。
ただ、この騒動以降、蘇民祭はふんどしの着用必須になったそうです。
それ以前は、全裸は黙認状態で全裸の参加者も多かった、とのこと。
女人禁制なので、別段問題にはならなかったんでしょう。
ですが参加者が多くなって、主催者と警察が目を光らせるようになって、実質全裸禁止になったという経緯があります。
ポスターと言えば、2016年の蘇民祭ポスターも一時期話題になりました。
「安心してください、はいてますよ」でおなじみ、はいているのにはいてない裸芸で大ブレイクした芸人、とにかく明るい安村に似ているとのこと。
今年の蘇民祭のポスター
これで 写真で一言 やったら
9割が 安心して下さい と答えるだろう pic.twitter.com/BDlC5sfVdP— 火曜BEAST!!!!!&なんじゃ (@beast792) 2016年1月8日
モデルの名前は記載されていないため、実際に安村さんがどうかはわからないものの…
相撲を取る際に前屈みになり一瞬穿いてないように見える格好、ということで結構それっぽいです。
それが本当なら、芸能人を起用してかなり攻めてきてますよね。
この話題が、蘇民祭をさらに有名なものにしたように感じます。
黒石寺蘇民祭の魅力と楽しみ方まとめ
裸の男と炎の祭り、岩手県黒石寺の蘇民祭。
見所と言えば、やはり蘇民袋争奪戦です。
フンドシ姿の男たちが、護符の入った蘇民袋を奪い合う壮絶な争奪戦。
しかし、もちろん他のプログラムも見応えがあります。
- 裸参り
- 柴燈木登り
- 別当登り
- 鬼子登り
夜から朝方にかけて行なわれる、1年に1度のお祭り。
日本三大奇祭&日本三大裸祭の1つとして、ほかでは見られないものばかりなので、ぜひ一度見物しに行ってみて下さい。
冬の夜ということで、相当寒くなりますから防寒対策はしっかりと。
また行き方(交通情報)や混雑状況もよくチェックしておいて下さいね。
蘇民祭といえば、一時期ニュースにも取り上げられたポスター騒動もありましたね。
「あれってどうなったの?」って方のために、少し取り上げてみました。
今でも問題なく運営されているので、結局はどうにもならなかったんでしょう。
むしろ、あの一連の騒動で有名になって、それが客寄せになった感じがあります。
この裸祭り蘇民祭は、地元民だけでなく一般市民も制限なく参加できます。
色々と大変な面もありますが、一生に一度くらいは参加するのも良いかもしれませんね。
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